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連載 制御工学Control Engineering

第67回 コントローラ

コントローラの伝達関数は、数学的にはいくらでも考えられうるが、実際それを実現
することを考えた場合、そのとり得る関数は限定される。代表的な伝達関数には、
次のようなものがある。

56-equation01

これらの伝達関数はコントローラとして次のような特性をもっている。
①の伝達関数はいわゆる比例+微分動作(PD動作)コン卜ローラで工業調節計
としてしばしば使われ、高い周波数における一巡伝達関数の位相を進めることに
よって系を安定化し、応答速度を上げるのにきわめて有効である。

②は比例+積分動作(PI動作)コントローラでこれも工業調節計としてよ く使われ
ている。これを自動制御系のフィードパックループに直列に挿入した場合には系
全体が積分特性をもち1形制御系になり、位置定常誤差(オフセット)を0にすること
ができる。一方、このコントローラは低い周波数範囲において位相を遅らせる性質
をもっているので、これを挿入することによって系全体の過渡応答の速さを低下
させる欠点がある。

③は進みコントローラとよばれ、高い周波数帯で位相を進める性質をもっている。
このような性質はフィードパック系の応答速度を高めるのにきわめて有効である。
その反面ハイパスフィルタ特性をもっているので、リプルその他の高い周波数帯の
雑音を増幅し、そのために増幅器を飽和させてその能力を失わせることもある。
使用の際にはその点に注意しなければならない。

③ に対し④は遅れコントローラとよばれているもので、高い周波数帯において
ゲインを下げる性質(ローパスフィルタ特性)がフィードパック系の特性改善に利用
される。このコントローラは過渡応答の形をよくするのには有効であるが、これを
使用すると応答が遅くなる。

⑤は進み・遅れコントローラとよばれるもので、④の遅れコントローラで特性改善
可能な範囲は十分補える。また、このコントローラのゲイン定数は常に1であるので
定常特性に悪影響を与える心配はない。また、進みコント ローラのように特にハイ
パスフィルタ特性をもっていないので、リプルその他高い周波数帯の雑音の悪影響
を増大させるような欠点もなく、実際の使用 に際してはもっとも有利なコントローラ
の一つである。

⑥はプロセス制御用の調節計として使用されるコントローラで、いわゆる比例+積分
+微分動作(PID動作)コントローラであり、三項動作のコントローラ(3action controler)
である。その性質からみればPI動作コントローラと同様に位置定常誤差をOにでき、
 しかも、系の応答速度を速くすることができる。特性改善可能な範囲が広いコントローラ
ある。

⑦は3自由度の進みコントローラ、③は3自由度の遅れコントローラであり、
それぞれ2自由度の進みコントローラ③、および遅れコントローラ④にゲイン定数kcを
付加し、kcも自由に調節できるようにしたものである。⑦の回路は必要に応じて過渡
応答の卓越する根の応答以外の成分も調整できるので便利である。また、③の回路は
ゲイン定数kcを必要に応じて大きくし定常特性を改善するのに有効で’ある。

⑨は、いわゆる微分コントローラとよばれるもので、フィードパック接続コントローラ
としてはきわめて広く使われているコントローラの一つである。

以上、各伝達関数をコントローラとして利用した場合の性質を述べた。伝達関数の中の
係数はフィードパック系に与えられる仕様(たとえば、最大行過ぎ時間、最大行過ぎ量)を
満たすように決定される。

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