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連載 制御工学Control Engineering

第29回 差分方程式のz変換

連続的な微分方程式に対してラプラス変換が用いられたのに対し、離散値的な
差分方程式には、z変換が用いられます。
z変換とは、ラプラス変換の性質⑨あるいは、ラプラス変換表の変換6を基礎と
する変換です。性質⑨より

18-equation01

である。ここで、eは時間関数 y(t) のラプラス変換L[y(t)]に作用させると、時聞が
t から t-τにシフトした時間関数 y(t-τ) のラプラス変換 L[y(t-τ)]に等しくなること
を意味しており、シフト演算子と呼ばれています。
差分方程式に対しては、このシフト演算子eの代わりに次の記号を利用します。

18-equation02

また、ラプラス変換の変換記号Jを用いるかわりに、変換記号zを用いる。
サンプル間隔 τ の離散データy(k),y(k-1),y(k-m)は連続時間軸では、 y(kτ),
y(kτ-τ), y(kτ-mτ)のことを意味しており、y(kτ)のラプラス変換 をY(s)で表すと、
式(2.15a)より、

18-equation03

となる。y(k)の z変換を y(z)とすると、

18-equation04

となります。例題2.11で求めたようなη 階のスカラー変数差分方程式

18-equation05

で与えられるシステムを考える。このシステムでu(k)は入力、y(k)は出力とする。
y(k)のz変換をY(z)、u(k)のz変換をU(z)とすると、差分方程式(2.16 a)のz変換は、

18-equation06

となり、システムの出力のz変換Y(z)は、

18-equation07

となる。上式より、出力のz変換Y(z)と入力のz変換U(z)の比を求める。

18-equation08

この比で与えられるZ-¹の有理多項式G(Z-¹)は、式(2.16a)で記述されるシステム
離散の伝達関数であり、パルス伝達関数と呼ばれる。また、

18-equation09

は、特性方程式と呼ばれ、特性方程式を、

18-equation10

と因数分解したときの値z1を特性根と呼ぶ。
m次元多入力u(k)、l次元多出力 y(k)をもつシステムが、

18-equation11

なる1階n元連立差分方程式で記述される場合、この伝達関数は、方程式をz変換して、

X(z)を消去することで次のように与えられる。X(0)=0であることより、X(z)を消去した
関係式は次のようになります。

18-equation13

ここでG(Z-¹)が伝達関数であり、次のように与えられる。

18-equation14

行列G(Z-¹)は lxmのサイズをもち、その(i,j)要素は、次のようになり、

18-equation15

Z-¹の有理多項式で与えられ、式(2.16d)と同じ構造をもつ。分母のZ-¹の多項式は
要素によらず同じで、

18-equation16

で与えられ、この多項式を特性多項式と呼ぶ。また特性多項式=0とおいた

18-equation17

は特性方程式であり、この根 z=z1は特性根と呼ばれます。
式(2.14a)の常微分方程式は式(2.14b)あるいは、式(2.17a)の差分方程式 に変換できた。
式(2.14a)の特性方程式

18-equation18

の根 s=s1と式(2.14b)あるいは、式(2.17a)の特性方程式

18-equation19

の根 z=z1の関係は式(2.15b)より、

18-equation20

で与えられる。 したがって、常微分方程式の特性根がわかっていれば、その方程式
を離散値化した差分方程式の特性根はすぐ計算できます。

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