会員メニュー Member’s menu

  1. トップ
  2. 会員ページ
  3. 連載 制御工学
  4. 第45回 行列eArの計算

連載 制御工学Control Engineering

第45回 行列eArの計算

状態推移方程式の係数行列peは式(2.35a)に示すように、行列Aτの無限級数
の和で与えられる。よって、一般にpeを直接計算することは不可能であり、
計算には何らかの工夫を必要とする。peの計算のいくつかの方法を挙げる。

① Aの固有値,固有ベクトルを利用する方法
式(2.34d)の固有値、固有ベクトルを用いた関係式を利用すると、

34-equation01

となる。この式よりA’は次のように固有値を用いて表すことができる。

34-equation02

いまこの式を式(2.35a)のPの項に代入すると、

34-equation03

となる。上式は行列Aの固有値、固有ベクトルが求まっておれば数値的に計算できる。
行列の固有値・固有ベクトルは固有値の数値計算法によって求めることができる。

② ex の近似関数を利用する近似法
数値計算可能なeatの近似関数を利用する方法があるex についてはさまざまな
近似法があるが、常微分方程式の数値計算法(積分法)としてよく使われる近似関数を
紹介しておく。

34-equation04

これらの近似関数のうち、ex の多項式近似関数(a),(b)は、サンプル間隔τが、
絶対値最大の特性根に対して十分小さくないと、本来安定な状態方程式を不安定
な状態推移方程式に近似変換する可能性がある.。(b)のようにexのテイラ一級数
展開の項数を4項で止めないで、より高次、たとえば10項、 20項まで展開した近似式
を利用しでも上と同じ傾向が現れる。(a)の場合、 1特性根×サンプル間隔1<0.02で、
近似によって生じる特性根の誤差はほぼ、1%以内であり、(b)の場合、 | 特性根×
サンプル間隔 |<1で特性根の誤差はほぼ1%以内となる。

近似式(c)は近似式(a),(b)と逆の特性をもち、サンプル間隔が小さくないと、
本来不安定な状態方程式を安定な状態推移方程式に変換する可能性をもっている。
近似式によって生じる特性根の誤差は(a)と同じ程度であり| 特性根×サンプル間隔 |
<0.02で、特性根の誤差は1%以内となる。
近似式(d)は、本来安定な状態方程式は安定な状態推移方程式に、不安定な状態
方程式は不安定な状態推移方程式に変換し、この近似を用いることで方程式の質的
変化はないが、近似に伴う特性根の誤差はあり、| 特性根×サンプル間隔 | <0.3で、
特性根の誤差は1%以内になる。
総合的に考え、上の近似式の中では(d)が推奨される。

 

© KANSAI Automation Co., LTD. All Rights Reserved.